2016年04月01日

桜を想う

「ちはやふる」なんて映画が公開されてて、
いや私は観ないけれども、
でも百人一首は好きだったので、
クローズアップされるのは嬉しかったりする。

中高生の頃は百の歌を全部覚えてたけど、
今はどうだろう、
もう暗唱できないかな・・・。


某事務所にパートで勤めてた時、
「もう帰っちゃうの?淋しいなあ。」
みたいな感じの、
調子のいいおじさんがいた。

でもある日は更に、

  めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに
  雲がくれにし 夜半の月かな

なんて詠い出したのだ。
百人一首の紫式部の歌。
久し振りに出会ったのに、
雲に隠れた月のように、
あなたはもう帰ってしまった、
そんな意味の歌。

いつもはテキトーにあしらって帰るんだけど、
「百人一首お好きなんですか?」
つい乗ってしまう。

「私はこれが好きなんですよ。」

  忘れじの 行末までは かたければ
  今日をかぎりの 命ともがな

を挙げてみた。

するとおじさんが新たな歌を詠む。

  願はくは 花の下にて 春死なむ
  そのきさらぎの 望月のころ

「それは百人一首じゃないですよね。」
「西行法師の辞世の句でさあ、
 桜の季節に死にたいって歌なんだよねえ。」
「浅野内匠頭の辞世の句もそんなのでしたよね、
 桜の花を詠った・・・。」
「あ~、なんだっけなあ。」
なんて2人で考える。



  風さそう 花よりもなを 我はまた
  春の名残を いかにとやせん

おじさんがちゃんと思い出してくれました。

他のみんなはお仕事してるのに、
2人で歌を詠んでる、
ちょっと不思議な光景。

でもでも、
なんだか嬉しかったんだよ。

もう何年も前の話なんだけどね。

今年も、
桜の季節ですなあ。

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